スパッタリングにおけるRF(高周波)とDC(直流)の主な違いは、使用される電源の種類と、それらがターゲット材料をイオン化して基板上に堆積させるメカニズムにある。
概要
- 直流スパッタリング: 通常2,000~5,000ボルトを必要とする直流電源を使用し、電子砲撃によってガスプラズマを直接イオン化する。
- RFスパッタリング: 直流電源を交流電源に置き換え、1MHz以上の周波数で動作させ、同様の成膜速度を得るためにはより高い電圧(1,012ボルト以上)を必要とする。RFスパッタリングは、運動エネルギーを利用してガス原子から電子を除去し、イオン化用の電波を発生させる。
詳しい説明
DCスパッタリング:
DCスパッタリングでは、真空チャンバー内でプラズマを発生させるために直流電源が使用される。電源は、チャンバー内に導入された不活性ガスをイオン化するのに十分な、通常2,000~5,000ボルトの安定した電圧を供給する。イオン化されたガス(プラズマ)は、ターゲット材料に向かって加速され、原子を基板上に放出・堆積させる。このプロセスは、プラズマからの電子によるターゲットへの直接的なイオン砲撃に依存している。RFスパッタリング:
- RFスパッタリングでは、ターゲットに印加する電力の極性を交互に変える交流電源を使用する。この交流電流は通常1MHz以上の高周波で作動する。極性を変えることで、ターゲット表面に集められた正イオンが正の半サイクルの間に中和され、負の半サイクルの間にターゲット原子がスパッタされるため、絶縁材料の効果的なスパッタリングが可能になる。高い周波数と電圧(1,012ボルト以上)は、ガス原子から電子を除去するために必要な運動エネルギーを作り出すために必要であり、ガスをイオン化してスパッタリングプロセスを促進する電波を発生させる。RFスパッタリングの利点と欠点:
- 利点: RFスパッタリングは、直流法では困難な絶縁材料の成膜に特に有効である。交流電流のため、絶縁材料によく見られるターゲット上の電荷蓄積を効率的に処理できる。
短所:
RFスパッタリングでは、高周波交流電流用に設計された特殊なコネクターやケーブルなど、より複雑で高価な装置が必要となる。また、基板をより加熱する傾向があり、DCスパッタリングに匹敵する成膜速度を得るにはより高い電力レベルが必要となる。
まとめると、RFスパッタリングとDCスパッタリングのどちらを選択するかは、成膜する材料と成膜プロセスの具体的要件による。