カソード・スパッタリングは、プラズマを利用してターゲット材料から原子を放出させ、薄膜またはコーティングとして基板上に堆積させるプロセスである。これは、制御されたガス(通常はアルゴン)を真空チャンバーに導入し、カソードに電気的に通電してプラズマを発生させることで達成される。ガス原子はプラズマ内で正電荷を帯びたイオンとなり、ターゲットに向かって加速され、ターゲット材料から原子や分子を離脱させる。このスパッタされた材料は蒸気流を形成し、基板上に堆積する。
詳細説明
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真空チャンバーのセットアップ:
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プロセスは真空チャンバー内で開始され、圧力は通常約10^-6torrと非常に低いレベルまで下げられる。これにより、スパッタリングプロセスが大気ガスに邪魔されることなく行われる環境が作り出される。スパッタリングガスの導入:
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アルゴンなどの不活性ガスを真空チャンバーに導入する。アルゴンの選択は、化学的に不活性であり、スパッタリングに使用される条件下でプラズマを形成する能力があるためである。
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プラズマの発生:
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チャンバー内の2つの電極間に電圧が印加され、そのうちの1つは成膜する材料でできたカソード(ターゲット)である。この電圧によってプラズマの一種であるグロー放電が発生し、自由電子がアルゴン原子と衝突してイオン化し、正電荷を帯びたアルゴンイオンが生成される。イオン加速とターゲット侵食:
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正電荷を帯びたアルゴンイオンは、電界によって負電荷を帯びたカソードに向かって加速される。これらのイオンがターゲットに衝突すると、その運動エネルギーがターゲット材料に伝達され、原子や分子がターゲット表面から放出される。
基板への蒸着: