MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相成長法)の一例は、気相エピタキシャルプロセスにおいて、有機金属化合物を前駆体として化合物半導体を成長させるものである。この技術では、III族およびII族元素の有機化合物とV族およびVI族元素の水素化物を使用し、気相中で熱分解して基板上に単結晶層を堆積させる。
詳細な説明
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前駆材料とプロセスセットアップ:
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MOCVDでは、前駆体は通常、III族元素用のトリメチルインジウム(TMI)やV族元素用のアルシン(AsH3)などの有機金属化合物である。これらの前駆体はキャリアガス(通常は水素)中で気化され、反応チャンバーに導入される。チャンバーは通常、大気圧または低圧(10~100Torr)で作動するコールドウォール石英またはステンレス鋼のセットアップである。加熱されたグラファイトベースの上に置かれた基板は、500~1200℃の温度に維持される。エピタキシャル成長:
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気化した前駆体は、キャリアガスによって加熱された基板上の成長ゾーンに運ばれる。ここで熱分解が起こり、有機金属化合物が分解して金属原子が基板上に析出する。その結果、単結晶材料の薄い層が成長する。このプロセスは高度に制御可能で、蒸着層の組成、ドーピングレベル、厚さを正確に調整することができる。
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利点と応用
MOCVDは、他のエピタキシャル成長技術に比べていくつかの利点がある。組成やドーパント濃度の迅速な変更が可能で、これはヘテロ構造、超格子、量子井戸材料の成長に極めて重要である。この能力は、LED、太陽電池、半導体レーザーなどの先端電子デバイスの製造に不可欠である。また、この技術は拡張性があり、高スループット製造に使用できるため、半導体産業で好まれる方法となっている。
精度と制御: