ボールミル容量の計算は、単なる体積の測定ではなく、トン/時での処理能力を決定するためのエンジニアリング計算です。業界標準の方法は、特定の供給粒度から所望の製品粒度まで特定の材料を粉砕するために必要な比エネルギー(kWh/トン)を計算するボンドの粉砕の第三理論に依存しています。この必要なエネルギーから、モーターの定格電力に基づいてミルの容量を導き出すことができます。
中心となる原則は次のとおりです。ボールミルの容量は、材料が内部にどれだけ収まるかによって決まるのではなく、特定の材料に対して特定の粒子サイズ削減を達成するために必要なエネルギーによって決まります。このエネルギー要件が、トン/時での供給速度を決定する制限要因となります。
基礎:ボンドの粉砕の第三理論
容量を正確に見積もるには、まずエネルギー、材料の硬度、粒子サイズの関係を理解する必要があります。ボンドの公式がその枠組みを提供します。
ボンドの作業指数(Wi)とは何ですか?
ボンドの作業指数(Wi)は、計算における中心的な変数です。これは、理論上無限のサイズから100マイクロメートル(μm)の製品サイズまで材料を減少させるために必要な、キロワット時/トン(kWh/トン)で測定される比エネルギーを表します。
この値は材料自体の基本的な特性であり、その硬度または「粉砕性」の尺度です。これは、粉砕しようとしている鉱石または材料の代表サンプルに対して標準化された実験室試験によって決定されます。
中心となる公式
ボンドの式は、粉砕作業に必要な比エネルギー(W)を計算します:
W = 10 * Wi * (1/√P80 - 1/√F80)
W= 必要な仕事投入量(単位:トンあたりのkWh)。Wi= 特定の材料のボンド作業指数。P80= 製品の80%が通過する粒子サイズ(単位:マイクロメートル(μm))。F80= 供給材料の80%が通過する粒子サイズ(単位:マイクロメートル(μm))。
この式は、処理される材料1トンあたりにどれだけのエネルギーを費やす必要があるかを正確に示します。
電力から容量(トン/時)へ
1トンあたりの必要なエネルギー(W)がわかれば、既知のモーター電力(P)を持つミルの理論上の容量(T)を計算できます。
容量 (T/hr) = P / W
P= ミルモーターから引き出される総電力(単位:キロワット(kW))。W= ボンドの公式から計算された比エネルギー要件(kWh/トン)。
例えば、ミルモーターが500 kWを引き出し、材料が20 kWh/トン(W)を必要とする場合、理論上の容量は25トン/時(500 / 20)になります。
実際の容量に影響を与える主要因
ボンドの公式は堅牢な理論的基準値を提供します。しかし、実際の運転容量は、いくつかの機械的および運転上の要因によって影響を受けます。
材料特性
作業指数に加えて、水分含有量、密度、摩耗性などの特性は、粉砕効率とミル内での材料の流れに影響を与え、最終的な処理能力に影響を与える可能性があります。
ミル設計と寸法
ミルの直径と長さは重要です。より大きな直径は、粗い粒子を破砕するためのより大きな衝撃力を提供し、長さと直径の比率は、ミル内部での材料の滞留時間に影響を与えます。
粉砕メディア
粉砕ボールのサイズ、材質、充填量は極めて重要です。ボールのサイズは供給粒度と一致させる必要があります。充填量(ボールで満たされたミルの割合)は、エネルギーを浪費することなく効率的な粉砕作用を最大化するために、通常30〜45%の間に最適化されます。
運転パラメータ
ミルの回転速度は、「臨界速度」(ボールが遠心分離する速度)に対して設定されます。ほとんどのミルは、効率的な粉砕のための理想的な転がりとカスケード運動を作り出すために、臨界速度の65〜75%で運転されます。同様に、スラリー密度(湿式粉砕における固形分と水の比率)は、適切な粒子のコーティングとエネルギー伝達を保証するために最適化されなければなりません。
制限とトレードオフの理解
文脈を理解せずに公式のみに頼ると、不正確な予測につながる可能性があります。
公式は経験的モデルである
ボンドの式は非常に優れており広く信頼されている経験的モデルですが、物理学の完全な法則ではありません。特定の粒子サイズ範囲で最もよく機能し、乾式粉砕、開放回路対閉鎖回路運転、および過大な供給などの異なる条件に対しては補正係数が必要になる場合があります。
作業指数はスナップショットである
ボンドの作業指数は実験室サンプルから決定されます。しかし、鉱山の鉱体は決して完全に均一ではありません。鉱石の硬度の変動により、実際のWiは変動し、ミルの処理能力が日々変化する原因となります。
機械的および運転上の非効率性
計算された容量は理論上の最大値です。ライナーの摩耗、モーターと駆動系の損失、最適ではないスラリー密度による実際の非効率性により、実際の容量は計算値よりもわずかに低くなることが常にあります。
プロジェクトへの適用方法
これらの計算を使用して、設計、運転、またはトラブルシューティングのフェーズに関わらず、特定の目標を導いてください。
- 新しいミルのサイジングが主な焦点である場合: 代表サンプルから実験室で決定された
Wiを用いてボンドの公式を使用し、必要なミル電力を計算し、その後、適切な安全マージンをもってその電力を供給できるミルを選択します。 - 既存のミルの最適化が主な焦点である場合: 実際のエネルギー消費量(kWh/トン)を計算されたボンド値(
W)と比較し、粉砕回路の効率をベンチマークし、改善の領域を特定します。 - 容量不足のトラブルシューティングが主な焦点である場合: 主要な変数を再評価します。供給サイズ(
F80)が粗くなったか、材料の硬度(Wi)が上昇し、システムが設計されたよりもトンあたりのエネルギーを多く要求しているのではないでしょうか?
結局のところ、ボールミル容量の計算は、機器の電力と材料の粉砕に対する抵抗との間のエネルギーバランスを理解することなのです。
要約表:
| 主要変数 | 記号 | 単位 | 説明 |
|---|---|---|---|
| ボンド作業指数 | Wi | kWh/ton | 材料の粉砕性/硬度。 |
| 供給サイズ (80%通過) | F80 | μm | 初期粒子サイズ。 |
| 製品サイズ (80%通過) | P80 | μm | 所望の最終粒子サイズ。 |
| 比エネルギー | W | kWh/ton | トンあたりの必要エネルギー (W = 10 * Wi * (1/√P80 - 1/√F80))。 |
| ミルモーター電力 | P | kW | ミルモーターから利用可能な電力。 |
| 理論容量 | T | tons/hr | ミルの処理能力 (T = P / W)。 |
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