はい、その通りです。油圧は温度によって大きく変化します。主な理由は、温度が作動油自体の物理的特性を変えるからです。密閉された油圧システムでは、閉じ込められた流体の熱膨張により、わずかな温度上昇でも劇的で危険な圧力上昇を引き起こす可能性があります。
核心的な問題は、圧力と温度が本質的に結びついていることではなく、温度が油圧流体の体積と粘度に直接影響を与えることです。固定体積のシステムでは、流体体積の変化が逃げ場を失い、システム圧力に大きな変化を強制します。
基本原理:熱膨張
温度が油圧に最も直接的かつ強力に影響を与えるのは、熱膨張の原理によるものです。これは、物質が熱にどのように反応するかを規定する物理学の基本概念です。
熱膨張の仕組み
作動油などの液体を含むほぼすべての物質は、加熱されると膨張し、冷却されると収縮します。温度が上昇すると、流体中の分子は運動エネルギーを得て、より活発に動き回り、より大きな体積を占めるようになります。
この変化は、流体の熱膨張率によって定量化されます。一般的な鉱物系作動油の場合、この値は摂氏1度あたり約0.0007(華氏1度あたり0.0004)です。
密閉システムへの影響
開いた容器でのわずかな膨張は気づかれませんが、シリンダーや配管が閉塞した密閉された固定体積の油圧回路では、その効果は劇的に増幅されます。
両端がオイルで完全に満たされ密閉された油圧シリンダーを想像してください。装置に太陽光が当たるなどして外気温が上昇すると、オイルは膨張しようとします。鋼鉄製のシリンダーの体積は比較的固定されているため、膨張する流体には逃げ場がありません。
これにより静圧が非常に高くなります。この関係は非常に直接的であり、わずか1°Cの温度上昇で圧力が10バール(145 psi)以上上昇する可能性があります。50°C(90°F)の変動があれば、理論上500バール(7,250 psi)以上の圧力が生成される可能性があり、これは多くのコンポーネントの安全動作限界をはるかに超えています。
二次的な影響:粘度の変化
温度はまた、流体の流れに対する抵抗である粘度にも大きな影響を与えます。これは密閉された配管内の静圧には影響しませんが、システムの動的性能には大きな影響を与えます。
粘度に対する温度の影響
温度と粘度の関係は逆です。
- 温度が上昇すると、粘度は低下します。オイルは薄くなり、温めた蜂蜜のように流れやすくなります。
- 温度が低下すると、粘度は上昇します。オイルは濃くなり、流れに対する抵抗が増します。
粘度変化の実用的な結果
この流れ特性の変化は、油圧システムがどのように動作するかに直接影響します。
高温時には、粘度が低いとポンプ、モーター、バルブのシール部での内部漏れが増加する可能性があります。これにより効率が低下し、コンポーネントの応答が遅くなり、強力な潤滑膜を形成する流体の能力が損なわれ、摩耗が加速します。
低温時には、粘度が高いと流体が動きにくくなります。これによりポンプへの供給不足(キャビテーション)が発生し、システムを動作させるために必要なエネルギーが大幅に増加し、アクチュエーターの動きが遅く反応が鈍くなります。
トレードオフと安全性の意味の理解
油圧の設計やメンテナンスにおいて、温度の影響を無視することは選択肢ではありません。結果は非効率から壊滅的な故障にまで及びます。
熱による過圧の危険性
最大の危険は、回路の密閉または閉塞した部分での圧力上昇です。日当たりの良い場所に駐車された機器は、ホースの破裂やシリンダーの破損を引き起こすのに十分な温度変動を容易に経験する可能性があり、高圧流体の噴射や破片の飛散による深刻な安全上の危険をもたらします。
これはまさに、重要なシステムがサーマルリリーフバルブで保護されなければならない理由です。これは、熱膨張によって引き起こされる圧力を逃がすために少量の流体を排出するように設計されています。
不適切な温度での動作の非効率性
暑すぎたり寒すぎたりする温度で動作するシステムは非効率的です。低温の場合、原動機(エンジンまたはモーター)は、濃い流体をポンピングするためだけに、はるかに懸命に働かなければならず、燃料や電力を浪費します。高温の場合、内部漏れが発生するため、ポンプは同じ量の仕事をするためにより懸命に働かなければならず、これもまたエネルギーを浪費します。
一貫性のない性能の課題
CNC機械や航空機のフライトコントロールなど、精度が要求される用途では、温度による変化が大きな問題となる可能性があります。流体粘度の変化は、バルブのタイミングやアクチュエーターの速度に影響を与え、予測不能で信頼性の低いシステム動作につながる可能性があります。
油圧システムにおける温度の管理方法
温度を効果的に管理することは、安全性、信頼性、効率性を確保することです。アプローチは、システムの設計と動作環境によって異なります。
- 安全性が主な焦点の場合:シリンダーと閉じた方向制御弁の間など、固定量の流体を閉じ込める可能性のある回路のあらゆる部分にサーマルリリーフバルブを設置する必要があります。
- 一貫した性能が主な焦点の場合:粘度指数(VI)が高い高品質のマルチグレード作動油を選択します。VIが高いほど、温度による粘度の変化が少なくなります。極端な環境では、寒冷地向けにシステムヒーターを、高温地向けにクーラー(熱交換器)の設置を検討してください。
- 圧力問題のトラブルシューティングが主な焦点の場合:必ず圧力と作動油の温度を同時に測定してください。非稼働中のシステムで温度上昇とともに着実に上昇する圧力測定値は、熱膨張の明確な兆候です。
温度の影響を制御することは、安全で信頼性が高く、効率的な油圧システムを設計および保守するための基本です。
要約表:
| 温度の影響 | 油圧システムへの主な影響 | 結果 |
|---|---|---|
| 上昇 | 流体の膨張(熱膨張) | 密閉システムでの危険な圧力上昇 |
| 上昇 | 粘度の低下 | 内部漏れの増加、効率の低下 |
| 低下 | 粘度の増加 | ポンプのキャビテーション、動作の遅延、エネルギー使用量の増加 |
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