プラズマエンハンスト化学気相成長法(PECVD)では、従来の方法よりも低温で薄膜を成膜しやすくするためにプラズマを発生させる。これは、一般的に高周波(RF)または直流(DC)方式で、低圧ガス環境中の電極に電圧を印加することで達成される。この電圧のエネルギーによってガスが活性化され、電子、イオン、中性ラジカルからなるプラズマが形成され、成膜に必要な化学反応が促進される。
PECVDにおけるプラズマの生成:
PECVDのプラズマは主に、低圧の混合ガスに電気エネルギーを加えることで生成される。これには、高周波(RF)から中周波(MF)、パルス、直流電力まで、さまざまな周波数の電気エネルギーを使用することができる。周波数の選択は、成膜プロセスや関係する材料の特定の要件に依存する。使用する周波数にかかわらず、基本的な目的はガス分子にエネルギーを与えてプラズマを形成することである。プラズマ形成のメカニズム
電気エネルギーが印加されると、ガス分子がイオン化し、荷電粒子(イオンと電子)と中性粒子(ラジカル)の混合物が生成される。このイオン化プロセスは、電界から供給されるエネルギーによって駆動され、電子を高速に加速し、ガス分子と衝突させてイオン化させる。その結果生じるプラズマは、構成粒子のエネルギーが高いため、反応性が高い。
PECVDにおけるプラズマの役割:
PECVDにおけるプラズマの主な役割は、低温での混合ガスの化学反応性を高めることである。従来の化学気相成長法(CVD)では、成膜に必要な化学反応を開始・維持するために高温が必要だった。これに対してPECVDは、プラズマからのエネルギーを利用してこれらの反応を活性化させるため、大幅に低い基板温度での成膜が可能になる。これは、高温が基板や下層にダメージを与える可能性のある高感度デバイスの製造には極めて重要である。
PECVDでプラズマを使用する利点: