DCスパッタリングとRFスパッタリングの主な違いは、電源とスパッタリングプロセスへの影響、特に絶縁材料の処理とチャンバー内の動作圧力にある。
まとめ:
DCスパッタリングでは直流(DC)電源を使用するため、絶縁ターゲットに電荷が蓄積し、スパッタリングプロセスが中断される可能性がある。対照的に、RFスパッタリングは高周波(RF)電源を使用し、交流(AC)を使用して電荷の蓄積を防ぐため、絶縁材料のスパッタリングに適している。さらに、RFスパッタリングは低いチャンバー圧力で作動するため、衝突が少なく、スパッタリングにより直接的な経路を提供する。
-
詳細説明
- 電源と電荷蓄積:DCスパッタリング:
- 直流スパッタリング: 直流電源を使用するため、特に絶縁材料ではターゲットに電荷が蓄積することがある。こ の 電 荷 溜 ま り は タ ー ゲ ッ ト へ の イ オ ン の 流 れ に 影 響 す る た め 、 ス パッタリングプロセ スを中断させる可能性がある。RFスパッタリング:
-
交流電源を使用し、交流の正の半サイクルの間に正イオンを中和することでターゲットへの電荷蓄積を防ぐ。このため、RFスパッタリングは、直流システムでは電荷が蓄積してしまう絶縁材料に特に効果的である。
- 動作圧力:DCスパッタリング:
- 通常、100 mTorr前後の高いチャンバー圧が必要で、プラズマ粒子とターゲット材料との衝突が多くなり、スパッタリング膜の効率と品質に影響を及ぼす可能性がある。RFスパッタリング:
-
15mTorr以下と大幅に低い圧力で作動する。この低圧環境は衝突の回数を減らし、スパッタ粒子が基材に到達する経路をより直接的に提供し、成膜プロセスを向上させる。
- 所要電力DCスパッタリング:
- 一般に2,000~5,000ボルトの電圧を必要とするが、これは電子によるガスプラズマ原子の直接衝突に十分な電圧である。RFスパッタリング:
-
ガス原子にエネルギーを与えるために電波を使用するため、より高い電力が必要で、しばしば1012ボルト以上になる。この高い電力は、ガス原子の外殻から電子を除去するために必要であり、電子を直接照射するのに比べてより多くのエネルギーを必要とするプロセスである。
- よくある問題DCスパッタリング:
- 主な問題はターゲット上の電荷蓄積で、特に絶縁材料で問題となる。RFスパッタリング:
必要な電力が高く、電波を使ってガスをイオン化するというエネルギー集約的なプロセスであるため、過熱が一般的な懸念事項となる。
結論として、DCスパッタリングとRFスパッタリングのどちらを選択するかは、ターゲットの材料特性とスパッタリング膜の望ましい特性によって決まる。RFスパッタリングは絶縁材料に有利であり、低圧でより効率的に動作する。一方、DCスパッタリングはより単純で、導電性ターゲットに必要な電力が少ない。