高速熱分解から生成されるバイオオイルは、主に酸素含有有機化合物と水からなる複雑な混合物である。高い含水率(20~30%)、高い酸素含有率(35~50%)、低いpH(~2)のため酸性で腐食性が高いという特徴がある。また、バイオオイルは粘度が高く(40℃で20~1000cp)、固形残渣(最大40%)を含む。発熱量は5600-7700Btu/lb(13-18MJ/kg)で、従来の燃料より低い。酸化的に不安定なため、バイオオイルは重合または凝集する傾向があり、時間の経過とともに粘度と揮発性が増加する。バイオオイルの安定性と精製燃料との適合性を向上させるためには、脱酸素などのアップグレーディング工程が必要となることが多い。
キーポイントの説明

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バイオオイルの主成分:
- 有機酸素化合物: バイオオイルには、酸素を多く含む有機化合物が豊富に含まれており、これが高い酸素含有率(35~50%)の一因となっている。これらの化合物には、酸、アルコール、ケトン、アルデヒド、フェノール類が含まれ、熱分解中のバイオマスの分解に由来する。
- 水分含有量: バイオオイルは、熱分解プロセスの副産物である水分を相当量(20~30%)含んでいる。この高い含水率は、バイオオイルの発熱量を低下させ、不安定性の一因となる。
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物理的および化学的特性:
- 密度が高い: バイオオイルの密度は水より重く、1.10~1.25g/mLである。
- 発熱量: バイオオイルの発熱量は比較的低く、従来の化石燃料に比べて5600~7700Btu/lb(13~18MJ/kg)である。
- 粘度: バイオオイルは粘度が高く、40℃での粘度範囲は20~1000cpである。この高い粘性は、取り扱いや輸送に困難をもたらす可能性がある。
- pHと酸度: バイオオイルのpHは一般的に非常に低く、2前後であることが多い。この酸性は有機酸の存在によるもので、有機酸はバイオオイルの腐食性にも寄与している。
- 固形残留物: バイオオイルには最大40%の固体残渣が含まれることがあり、これは熱分解プロセスから持ち越されたチャー粒子やその他の不揮発性物質である。
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不安定さとアップグレードの必要性:
- 酸化的不安定性: バイオオイルは酸化的に不安定であり、時間の経過とともに重合、凝集、酸化反応を起こす傾向がある。これらの反応は、バイオオイルの粘度や揮発性を高め、燃料として直接使用するには適さなくなる。
- プロセスのアップグレード バイオオイルの安定性と従来の精製燃料との適合性を改善するために、脱酸素処理などのアップグレーディングプロセスがしばしば採用される。脱酸素は酸素含有量を減らし、バイオオイルの発熱量と安定性を向上させる。
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用途と使用法:
- 燃料用途: 課題はあるものの、バイオオイルはディーゼルエンジンや発電用ガスタービンの液体燃料として使用できる。また、固形バイオマスに比べて取り扱いが簡単で、輸送・貯蔵コストが低いため、発電所での混焼燃料としても魅力的である。
- 化学原料: バイオオイルは、有機化合物や特殊化学物質の供給源となり、それらを抽出してさまざまな産業用途に利用することができる。
- エンジン燃料へのアップグレード バイオオイルは、エンジン燃料に改良したり、ガス化などのプロセスを通じて合成ガスやバイオディーゼルに変換したりすることができるため、再生可能エネルギー生産のための汎用性の高い原料となっている。
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課題と考察:
- 取り扱いおよび保管: バイオオイルは粘度が高く、酸性で不安定であるため、劣化を防ぎ安全性を確保するためには慎重な取り扱いと保管が必要である。
- 経済的実行可能性: アップグレードプロセスの必要性と、バイオオイルの発熱量が比較的低いことは、燃料としての経済性に影響を与える。しかし、現在進行中の研究開発は、バイオオイルの生産と改良の効率と費用対効果を改善することを目指している。
要約すると、高速熱分解から得られるバイオオイルは複雑で困難な材料であるが、適切な改良と取り扱いを行えば、再生可能燃料や化学原料として大きな可能性を秘めている。
総括表:
プロパティ | 詳細 |
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主な構成 | 酸素含有有機化合物(35~50%)、水(20~30) |
密度 | 1.10~1.25g/mL(水より重い) |
発熱量 | 5600~7700Btu/ポンド(13~18MJ/kg) |
粘度 | 20-1000 cp @ 40°C |
pH | ~2(強酸性) |
固体残留物 | 最大40 |
不安定 | 酸化的不安定性、重合、凝集 |
プロセスのアップグレード | 精製燃料との安定性と適合性を改善するための脱酸素処理 |
アプリケーション | エンジン用燃料、化学原料、再生可能エネルギー生産 |
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