スパッタリングは、物理的気相成長法(PVD法)の一つで、基板上に薄膜を形成するために用いられる。イオン化したガスを用いてターゲット材料をアブレーションし、ターゲットから原子を放出させて基板上に堆積させ、薄く均一で高純度の被膜を形成する。このプロセスは汎用性が高く、導電性でないものも含め、さまざまな基板に使用できる。
スパッタリングの種類
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スパッタリング技術はいくつかのタイプに分類され、それぞれ異なる用途に適している:直流(DC)スパッタリング:
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直流(DC)スパッタリング:最も単純なスパッタリングで、ターゲット材 料に直流電流を流し、プラズマから放出されるイオンによって原子を放出 させる。高周波(RF)スパッタリング:
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RFスパッタリングは、プラズマの生成に高周波電力を使用する。この方法は、ターゲットが導電性である必要がないため、絶縁材料の成膜に特に有効である。中周波(MF)スパッタリング:
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この技法は、DCとRFの中間の周波数を使用し、両者の利点を組み合わせたものである。DCまたはRFだけではスパッタリングが困難な材料を成膜するのに有効である。パルス直流スパッタリング:
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パルス状の直流電流を使用する方法で、絶縁基板へのチャージアップ効果を低減し、膜質を向上させることができる。高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS):
HiPIMSは、非常に高い出力のパルスを使用して高密度のプラズマを形成し、スパッタ粒子のイオン化を促進する。その結果、密着性に優れ、緻密な構造の膜が得られる。スパッタリングのプロセス
スパッタリング・プロセスは、不活性ガス(通常はアルゴン)で満たされた真空チャンバー内に基板を置くことから始まる。成膜するターゲット材料はマイナスに帯電し、陰極となる。この電荷によってターゲットから自由電子が流れ出し、ガス原子と衝突してイオン化する。イオン化されたガス原子(イオン)は電界によってターゲットに向かって加速され、ターゲットと衝突してターゲット表面から原子が放出される。放出された原子は真空中を移動し、基板上に堆積して薄膜を形成する。
スパッタリングの応用
スパッタリングは、高品質な薄膜を作ることができるため、さまざまな産業で広く利用されている。半導体、光学機器、太陽電池の製造や、CDやディスクドライブのような電子機器やデータ記憶装置の材料コーティングに利用されている。この技術はまた、分析実験やナノテクノロジーにおいて精密な薄膜構造を作成する研究においても価値がある。