熱分解バイオオイルは、バイオマスを低酸素雰囲気で急速加熱・急速急冷して得られる液体製品である。酸素含有量が多く、石油油よりも発熱量が低く、酸性で不安定で、水よりも密度が高いという特徴がある。水、固体無機物、炭素チャーを含むことが多い。
高い酸素含有量: 熱分解バイオオイルは、最大40重量%の酸素を含む。この高い酸素含有率は、バイオマスが急速に加熱され、その後急速に冷却される熱分解プロセスの結果であり、元のバイオマスに含まれる酸素含有化合物の多くが保持される。この酸素含有量が、バイオオイルの特性を石油オイルとは大きく異なるものにしている。
低い発熱量: 熱分解バイオオイルの発熱量は、一般的に石油オイルよりも低く、従来の燃料油が43~46 MJ/kgであるのに対し、15~22 MJ/kgである。これは主に酸素化合物の存在によるもので、バイオオイルのエネルギー密度を低下させる。
酸性度: 熱分解バイオオイルは酸性であるため、貯蔵や取り扱いに問題がある。酸性は、熱分解の過程で様々な有機酸が形成される結果である。この特性により、保管には特別な材料が必要となり、さらに使用または加工する前に中和が必要となる場合がある。
不安定性: バイオオイルは不安定で、特に加熱すると不安定になる。この不安定性は、多数の反応種が存在することと、酸素含有量が高いことに起因する。熱分解で使用される急速な加熱と急冷プロセスは、さらなる反応を起こしやすい化合物の形成につながり、時間の経過とともにバイオオイルの劣化や相分離を引き起こす可能性がある。
水よりも高い密度: 多くの液体とは異なり、熱分解バイオオイルは水よりも密度が高く、その密度は約1.2kg/リットルである。この高い密度は、水、有機化合物、無機物質を含むバイオオイル中の化合物の複雑な混合物の結果である。
水と固体無機物を含む: 熱分解バイオオイルは、通常20~30%の範囲で、かなりの量の水を含むことが多い。この含水率が一定レベルを超えると、相分離を引き起こす可能性がある。さらに、バイオオイルには、バイオマス原料の残渣である固体無機物や炭素チャーが含まれていることが多い。
処理と特性: 熱分解バイオオイルの製造には、非常に高い加熱率と熱伝達率が必要であり、細かく粉砕されたバイオマス原料が必要となる。反応温度は500℃前後に注意深く制御され、反応器内での熱分解蒸気の滞留時間は1秒未満である。熱分解蒸気の急速冷却(クエンチ)は、バイオオイルの生成に極めて重要である。バイオオイルは、酸素含有有機化合物、ポリマー、水の複雑なエマルジョンであり、その特性は熱分解プロセス中の触媒の使用によって影響を受ける。
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