熱分解油は、主に酸素含有炭化水素と水で構成される複雑な混合物であり、固形チャーなどの追加成分も含まれる。水の含有量は、製造工程に影響されるが、通常20~30重量%である。熱分解油は、ホロセルロース分解生成物の水溶液が連続相を形成し、水素結合などのメカニズムによって熱分解リグニン巨大分子の不連続相を安定化させるマイクロエマルションと見なすことができる。
化学組成
- 酸素含有炭化水素:ヘミセルロース、セルロース、リグニンなどのバイオマス成分の分解から得られる熱分解油の主成分である。これらの化合物は酸素を含むため、従来の燃料油に比べて発熱量が低い。
- 水:かなりの量(14-33 wt%)存在する熱分解油中の水は、蒸留のような従来の方法で除去するのは困難である。この高い含水率は、ある閾値を超えると相分離を引き起こす可能性がある。
- 固体炭化水素:熱分解油サンプルの中には、熱分解時の不完全分解による残留物である固形チャーが含まれている場合がある。
- 反応種:油には反応性の中間分解生成物が多く含まれ、経時的に不安定になる。これらの反応性成分は縮合反応を起こし、粘度の変化や相分離を引き起こす可能性がある。
安定性と反応:
熱分解オイルは一般的に不安定であり、特に粘度の点で経時的に変化する可能性がある。この経年変化は、反応成分間の縮合反応によるものである。オイルを100℃以上に加熱すると、急激な反応が起こり、固体の残渣や揮発性有機化合物や水を含む留出油が生じる。従来の油とは異なり、熱分解液は一度回収すると完全に再蒸発させることができないため、その反応性の高さがさらに際立つ。従来の燃料油との比較