水循環式真空ポンプでは、インペラの回転はガスを直接移動させません。代わりに、その回転によって一連の膨張・収縮する水密チャンバーが生成されます。これらのチャンバーは、まず膨張して入口からガスを吸い込み、次に収縮してそのガスを圧縮・排出することで、連続的な真空効果を生み出します。
その核心原理はシンプルでありながら巧妙です。インペラはポンプケーシング内に偏心して取り付けられています。回転すると、水が外壁に沿ってリングを形成するように押し出され、インペラブレード間に密閉されたチャンバーが作成されます。これらのチャンバーは常に体積が変化し、これがポンプ作用全体を駆動します。
核心メカニズム:回転から真空へ
ポンプがどのように機能するかを理解するには、インペラが1回転する間に1つのガスポケットがたどる経路を視覚化する必要があります。このプロセスは、インペラ、ケーシング、および封液(通常は水)の相乗効果に依存しています。
液封リングの形成
ポンプが作動すると、インペラは高速で回転します。遠心力により水が外側に押し出され、ポンプケーシングの円形の内部形状に沿って同心円状の液封リングを形成します。この液封リングが主要なシール媒体となります。
鍵は偏心
インペラの回転軸は、ケーシングの幾何学的中心から意図的にずらされています。この偏心取り付けが最も重要な設計要素です。
このオフセットのため、インペラの中心ハブと液封リングの内面との間の空間は一定ではありません。片側は小さく、反対側は大きくなります。
吸引フェーズ(体積膨張)
インペラブレードのペアが、ハブが液封リングから離れる方向に動く領域を回転すると、それらの間に密閉されたチャンバーの体積が増加します。
この膨張により圧力が低下し、チャンバーが低圧ゾーンになります。これが「吸引」フェーズであり、入口ポートからガスがポンプに吸い込まれます。
圧縮および排出フェーズ(体積収縮)
同じブレードが反対側に回転し続けると、インペラハブが液封リングに向かって動く領域に入ります。
ここで、チャンバーの体積が減少し、吸い込まれたガスが圧縮されます。この圧力は排出ポートの圧力を超えるまで上昇し、圧縮されたガスと少量の水がポンプから排出されます。このサイクルは、各チャンバーで毎回転繰り返され、滑らかで連続的な真空を作り出します。

トレードオフの理解
液封式真空ポンプは堅牢性で評価されていますが、その設計には、認識しておくべき固有の利点と限界があります。
湿式設計の利点
水リングの存在は、いくつかの独自の利点をもたらします。ポンプを常に冷却し、凝縮性蒸気(水蒸気など)を処理でき、他の多くの真空ポンプ設計とは異なり、少量の液体や軟質固形物を損傷なく吸入することもできます。
主な制限:蒸気圧
水リングポンプが達成できる最終真空度は、封液の蒸気圧によって制限されます。
水は低圧で沸騰し、蒸気になり始めます。20°C(68°F)の水の場合、これは約25 mbar(18.75 Torr)で発生します。ポンプは、自身の封液が沸騰し始める点よりも深い真空を作り出すことはできません。なぜなら、そうするとポンプがさらに多くの蒸気で満たされるだけだからです。水温が高いほど蒸気圧も高くなり、最終真空度は弱くなります。
目的に合った適切な選択
この動作原理を理解することで、ポンプを効果的に使用し、目的に合った適切なツールを選択することができます。
- 堅牢でメンテナンスの少ない汎用真空が主な目的の場合: このポンプは、極端な真空を必要としないロータリーエバポレーション、脱気、真空ろ過などの作業に優れた選択肢です。
- 深真空または高真空の達成が主な目的の場合: 液封式ポンプ単独では不適切です。高真空ポンプ(ターボ分子ポンプや拡散ポンプなど)が引き継ぐ前に、システムを初期の低圧にするための「粗引き」ポンプとして使用する方が適しています。
回転、偏心、液封リングがどのように連携して機能するかを把握することで、真空システムを自信を持って操作し、トラブルシューティングできるようになります。
要約表:
| インペラ回転フェーズ | チャンバー体積への影響 | ガスへの作用 |
|---|---|---|
| 吸引フェーズ | 膨張 | 入口からガスを吸い込む |
| 圧縮/排出フェーズ | 収縮 | ガスを圧縮して排出する |
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