オートクレーブに代わる熱に敏感な材料の滅菌法として、ガスプラズマ滅菌、エチレンオキサイド(EtO)滅菌、気化過酸化水素(VHP)滅菌などの低温滅菌法がある。これらの方法は、高温によるダメージを与えることなく、熱に敏感な材料の滅菌に効果的である。
ガスプラズマ滅菌:
ガスプラズマ滅菌は、イオン化したガスを用いて微生物を死滅させる。低温の過酸化水素蒸気とプラズマを組み合わせて殺菌する方法。このプロセスは45℃から55℃程度の温度で効果を発揮するため、熱に弱い素材に適している。ガスプラズマは、通常約45分から1時間と短時間で処理でき、芽胞を含む幅広い微生物に有効である。エチレンオキシド滅菌:
エチレンオキシド(EtO)滅菌では、微生物を死滅させる効果の高いガスを使用する。EtOは化学的殺菌剤で、微生物のタンパク質やDNAに含まれるアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基と反応することで効果を発揮する。この方法は37℃から63℃の温度で作動し、ほとんどの熱に敏感な材料に対して安全である。しかし、潜在的に危険な残留EtOを除去するための曝気が必要なため、このプロセスには長いサイクル時間(数時間から数日)が必要である。
気化過酸化水素滅菌:
気化過酸化水素(VHP)滅菌は、気体状態の過酸化水素を使用して微生物を死滅させる。蒸気はチャンバー内を循環し、すべての表面に接触して殺菌を行う。VHPは約40℃から50℃で効果を発揮するため、熱に弱い素材に適している。過酸化水素は水蒸気と酸素に分解されるため、有毒な残留物は残らない。